印象が良い歯医者の言い回し

2025年11月
  • 知ればもっと面白い!矯正器具のマニアック図鑑

    生活

    歯列矯正の世界には、ブラケットやワイヤーといった主役級の器具だけでなく、特定の状況で、まるで職人の特殊工具のように、ピンポイントで絶大な効果を発揮する、少しマニアックな器具が存在します。これらを知れば、あなたの受けている治療への理解がさらに深まり、その奥深さにきっと驚くはずです。まず、矯正治療を始める直前の、地味ながら重要なステップで使われるのが「セパレーティングゴム」です。これは、直径5mmほどの小さな青いゴムで、奥歯に金属の輪(バンド)を装着するためのスペースを確保するために、バンドを入れる歯とその隣の歯との間に、数日間だけ挟み込んでおくものです。このわずかな隙間作りが、地味に痛いと感じる人も多い、矯正治療の隠れた関門の一つです。歯列の幅を広げるための固定式装置として、「クワドヘリックス」や「バイヘリックス」があります。「クワド」は4つ、「バイ」は2つのヘリックス(螺旋状のループ)を持つワイヤーの装置で、主に上顎や下顎の歯列を側方に拡大するために用いられます。拡大床と異なり、患者さん自身で取り外すことはできません。歯が意図しない方向に動くのを防ぐための「固定装置」も重要です。例えば、抜歯したスペースに奥歯が前にずれてくるのを防ぐために、上顎の口蓋(口の天井)に沿って装着される「ナンスのホールディングアーチ」や、左右の奥歯を連結して固定する「トランスパラタルアーチ」などがあります。これらは、歯を動かすための「固定源」を強化する役割も担います。また、下の顎の成長を前方に促すための「機能的矯正装置」も、小児矯正で活躍する特殊な装置です。代表的なものに「バイオネーター」や「ツインブロック」があり、これらは取り外し式の装置で、装着することで下顎が正しい位置に誘導され、骨格的な改善を目指します。このように、歯列矯正は、無数の精密な器具たちの連携によって成り立っています。もしあなたの口の中に、聞き慣れない名前の装置が入っていても、それはあなたの歯並びを理想の状態に導くための、特別な役割を担った大切なパートナーなのです。