口臭予防というと、どうしても、歯磨きやフロスといった「除去する」ケアにばかり目が行きがちです。しかし、それと同じくらい、いや、それ以上に重要で、おすすめしたいのが、口の中を「潤す」ケアです。そして、その主役となるのが、私たちの体自身が作り出す、最強の天然マウスウォッシュ、「唾液」です。唾液は、口臭予防において、まさに万能とも言える、多くの重要な役割を担っています。①自浄作用:豊富な唾液は、口の中の食べかすや、細菌を、常に洗い流し、口臭の原因菌のエサを減らしてくれます。②抗菌作用:唾液には、リゾチームやラクトフェリンといった、細菌の増殖を抑える成分が含まれています。③緩衝作用:食事によって酸性に傾いた口の中を、中性に保ち、細菌が活動しにくい環境を維持します。④粘膜保護作用:デリケートな口の粘膜を潤いのベールで覆い、乾燥や刺激から守ります。しかし、ストレスや疲労、口呼吸、加齢などによって、この唾液の分泌が減少し、口の中が乾燥(ドライマウス)してしまうと、これらの素晴らしい機能が、全て低下してしまいます。口が乾くと、細菌は、やりたい放題に増殖し、口臭は、一気に悪化するのです。したがって、口臭を効果的に予防するためには、この「唾液パワー」を、常に最大限に発揮できる状態に保つことが、不可欠なのです。そこでおすすめしたいのが、日々の生活に、唾液の分泌を促す「潤い習慣」を取り入れることです。まずは、「よく噛むこと」。食事の際、一口30回を目標に、しっかりと噛むことで、唾液腺が刺激され、サラサラとした質の良い唾液が、たくさん分泌されます。また、シュガーレスガムを噛むのも、手軽で効果的な方法です。次に、「唾液腺マッサージ」。耳の下、顎の骨の内側、顎の先の下にある、三大唾液腺を、指の腹で優しくマッサージする習慣をつけましょう。そして、「こまめな水分補給」。体内の水分が不足すれば、唾液は作れません。喉が渇く前に、少しずつ水を飲むことを心がけてください。これらの習慣によって、口の中が常に潤った状態を保つこと。それが、ニオイの発生しにくい、健やかな口内環境を作る、究極の口臭予防となるのです。