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重曹で歯が白くなる?噂の真相と危険性
インターネットやSNSなどで、「重曹で歯を磨くと白くなる」という情報を見かけることがあります。重曹(炭酸水素ナトリウム)は、掃除や料理にも使われる身近な物質であり、手軽に試せるホワイトニング方法として魅力的に感じるかもしれません。しかし、この噂には注意すべき点があり、誤った使い方をすると歯にダメージを与えてしまう危険性も潜んでいます。重曹に研磨作用があることは事実です。重曹の粒子は、歯の表面に付着したステイン(着色汚れ)を物理的にこすり落とす効果が期待できます。そのため、一時的に歯が白くなったように感じることがあるかもしれません。しかし、この研磨作用が強すぎると、歯の最も外側にある硬いエナメル質を傷つけてしまうリスクがあるのです。エナメル質が削れて薄くなると、その下にある黄色味を帯びた象牙質が透けて見えるようになり、かえって歯が黄ばんで見えたり、知覚過敏の症状が出たりする可能性があります。また、エナメル質に傷がつくと、歯の表面がザラザラになり、そこにさらに汚れや色素が付着しやすくなるという悪循環に陥ることも考えられます。歯科医院で使用される研磨剤は、歯の表面を傷つけにくいように粒子の大きさや形状が調整されていますが、市販の食用や掃除用の重曹は、そのような配慮がされていません。そのため、自己判断で重曹を歯磨きに使用することは、歯科専門家の間では推奨されていません。もし、重曹を使って歯の着色汚れを落としたいと考えるのであれば、ごく少量をごくたまに使用する程度に留め、決して強くこすりすぎないように注意する必要があります。しかし、それでも歯へのダメージのリスクは避けられないため、基本的には避けるべきと言えるでしょう。歯の着色汚れが気になる場合は、まず歯科医師や歯科衛生士に相談することをお勧めします。歯科医院では、歯の状態を正確に診断し、安全かつ効果的なクリーニング方法やホワイトニング方法を提案してくれます。専門家によるクリーニング(PMTC)では、歯の表面を傷つけることなく、専用の機器や研磨剤を使って着色汚れをきれいに除去してくれます。また、歯そのものの色を白くしたい場合は、歯科医院で行うオフィスホワイトニングや、自宅で行うホームホワイトニングといった選択肢があります。これらは、歯科医師の管理のもとで行われるため、安全性も高く、効果も期待できます。