印象が良い歯医者の言い回し

長年、歯磨きはしっかりしているつもりでした。電動歯ブラシも使い、デンタルリンスも併用していましたから、自分の口腔ケアにはそれなりに自信があったのです。しかし、定期検診で訪れた歯科医院で、担当の歯科医から「歯と歯の間に少しプラークが残っていますね。デンタルフロスは使っていますか？」と優しく指摘されました。正直なところ、デンタルフロスは面倒だという先入観があり、ほとんど使っていませんでした。歯科医は、歯ブラシだけでは歯全体の約6割しか磨けていないこと、そして歯間のプラークが虫歯や歯周病の大きな原因になることを丁寧に説明してくれました。そして、「一度、だまされたと思って1ヶ月続けてみてください。きっと違いがわかりますよ」という言葉に背中を押され、その日からデンタルフロスを始めることにしたのです。最初の数日は、歯科衛生士さんに教えてもらった通りにやっているつもりでも、なかなか上手くいきませんでした。フロスが途中で切れたり、歯茎から少し血が出たりして、心が折れそうになることもありました。しかし、歯科医の言葉を信じて、毎晩、歯磨きの後に欠かさずフロスを続けました。一週間ほど経った頃でしょうか。フロスを通した後のスッキリ感が、以前とは格段に違うことに気づき始めました。そして、フロスに付着してくるプラークの量が、日を追うごとに少しずつ減ってきているようにも感じられたのです。何よりも驚いたのは、朝起きた時の口の中のネバつきが明らかに軽減されたことでした。以前は、どんなに丁寧に歯を磨いて寝ても、朝には多少の不快感があったのですが、それがほとんど感じられなくなったのです。これは、夜間に増殖する細菌の量が減った証拠だと、後日歯科医から説明を受けました。そして、1ヶ月後の定期検診。歯科医は私の口腔内を見るなり、「素晴らしいですね！歯茎の状態もすごく良くなっていますし、歯間のプラークもほとんどありません。フロス、頑張りましたね」と笑顔で言ってくれました。その言葉が本当に嬉しくて、これまでの努力が報われた気がしました。自分でも、歯茎が引き締まり、以前よりも健康的なピンク色になったように感じていました。