歯と歯の間に潜む虫歯は、まるで忍者かスパイのように、私たちの気づかぬうちに進行し、ある日突然、痛みや不快感といった形でその存在を明らかにする厄介な存在です。鏡で口の中を隅々までチェックしても、歯の側面、特に隣の歯とぴったりと接している部分にできた初期の虫歯を自分で見つけるのは至難の業と言えるでしょう。自覚症状もほとんどないため、ついつい放置してしまいがちですが、この「見えない敵」を早期に発見し、対処するための最も確実な方法が、定期的な歯科検診です。歯科検診なんて、痛くなってから行けばいいのでは?そう考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、それでは手遅れになってしまう可能性があります。特に歯間虫歯の場合、症状が出た時にはすでにかなり進行しており、治療も複雑で大掛かりなものになりかねません。歯科医院で行われる検診では、まず歯科医師や歯科衛生士が、専用の器具やライトを使って、お口の中全体を丁寧にチェックします。歯の表面の色や光沢の変化、わずかな欠けや溝などを詳細に観察し、虫歯の兆候がないかを確認します。しかし、歯間虫歯の発見において、視診だけでは限界があります。そこで非常に重要な役割を果たすのが、レントゲン検査です。特に「バイトウィング法」と呼ばれる、上下の歯の歯間部を同時に撮影する方法は、初期の歯間虫歯を発見するのに非常に有効です。レントゲン写真では、虫歯になっている部分が黒く透けて写るため、歯の内部でどの程度虫歯が進行しているのかを正確に把握することができます。これにより、肉眼では見逃してしまうような小さな虫歯や、詰め物の下にできた二次的な虫歯なども発見することが可能になります。定期的な歯科検診のメリットは、虫歯の早期発見・早期治療だけではありません。専門家による歯のクリーニング(PMTC)を受けることで、歯ブラシだけでは落としきれない歯垢や歯石、着色汚れを徹底的に除去してもらえます。これにより、虫歯だけでなく歯周病の予防にも繋がります。また、正しい歯磨きの方法や、デンタルフロス、歯間ブラシといった補助清掃用具の適切な使い方について、個々のお口の状態に合わせた指導を受けることもできます。
見えない敵は検診で!歯間虫歯早期発見の鍵