口の中にできると、食事や会話もつらくなる口内炎。特に「でかい口内炎」となると、その痛みや不快感は一層増します。この大きくて厄介な口内炎は、一体何なのでしょうか。そして、なぜできてしまうのでしょうか。一般的に「口内炎」と呼ばれるものの中で、最も頻度が高いのは「アフタ性口内炎」です。これは、円形または楕円形の白っぽい潰瘍で、周囲が赤く腫れているのが特徴です。通常は直径数ミリ程度のものが多いですが、時に1センチを超えるような大きなアフタ性口内炎ができることがあります。これが「でかい口内炎」の正体の一つです。大きなアフタ性口内炎は、「再発性アフタ性口内炎(Major aphthous ulcerations)」とも呼ばれ、深部にまで達することがあり、治癒にも時間がかかり、痕が残ることもあります。でかい口内炎ができる主な原因は、小さな口内炎と同様に、まだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。まず、「免疫力の低下」です。ストレス、疲労、睡眠不足、栄養不足(特にビタミンB群や鉄分、亜鉛の欠乏)などによって体の抵抗力が落ちると、口の中の粘膜も弱くなり、口内炎ができやすくなると言われています。次に、「物理的な刺激」です。誤って頬の内側を噛んでしまったり、硬い食べ物や歯ブラシで粘膜を傷つけたり、合わない入れ歯や矯正装置が当たったりすることも、口内炎の引き金になります。これらの傷が細菌感染を起こし、大きな口内炎に発展することがあります。また、「特定の食品や薬剤に対するアレルギー反応」や、「遺伝的素因」も関与しているという説があります。さらに、ベーチェット病などの全身疾患の一症状として、大きくて治りにくい口内炎が繰り返しできることもあります。稀なケースですが、口内炎がなかなか治らず、大きさがどんどん増していくような場合は、口腔がんなどの悪性腫瘍の可能性も否定できないため、注意が必要です。でかい口内炎ができてしまったら、まずは安静にし、刺激物を避け、口腔内を清潔に保つことが大切ですが、痛みが強い場合や長引く場合は、自己判断せずに歯科医師や耳鼻咽喉科医に相談することをお勧めします。