歯の神経を抜く治療(抜髄)を受けた後、多くの方が気になるのが「痛みはいつまで続くのか」「どのように対処すれば良いのか」ということでしょう。抜髄は、炎症を起こした神経を取り除くことで激しい痛みから解放されるための治療ですが、治療後にもある程度の痛みや違和感が生じることがあります。これは、治療による刺激や、歯の根の先の組織に残っているわずかな炎症などが原因で起こる正常な反応の一つです。通常、抜髄後の痛みは、治療当日をピークに、数日から1週間程度で徐々に落ち着いていくことが一般的です。ただし、痛みの感じ方や期間には個人差があり、歯の状態や治療の難易度によっても異なります。歯科医師からは、治療後に鎮痛剤が処方されることが多いので、指示に従って服用することで、痛みをコントロールすることができます。抜髄後の痛みを悪化させないためには、いくつかの注意点があります。まず、治療当日は、麻酔が完全に切れるまでは食事を控えるか、柔らかいものを反対側の歯で噛むようにしましょう。麻酔が効いていると、誤って唇や頬を噛んでしまうことがあります。また、血行が良くなると痛みが増すことがあるため、治療当日の飲酒や長時間の入浴、激しい運動は避けるようにしましょう。喫煙も、傷の治りを遅らせたり、感染のリスクを高めたりする可能性があるため、控えることが望ましいです。歯磨きについては、治療した歯の周囲も優しく丁寧に磨くようにしてください。ただし、仮の詰め物が取れやすい場合があるので、強く磨きすぎないように注意が必要です。うがい薬が処方された場合は、指示通りに使用しましょう。もし、鎮痛剤を服用しても我慢できないほどの強い痛みが続く場合や、顔が腫れてきたり、熱が出たりするような場合は、何らかのトラブルが起きている可能性があります。例えば、根管内に細菌が残っていて炎症が再燃したり、根管充填材が根の先から押し出されて周囲の組織を刺激したりしていることなどが考えられます。このような場合は、自己判断せずに、速やかに治療を受けた歯科医院に連絡し、指示を仰ぐことが大切です。また、治療後しばらく経ってから、噛んだ時にだけ痛む、歯茎が腫れてきた、といった症状が現れることもあります。これも、根の先に問題が生じているサインかもしれないので、放置せずに歯科医師に相談しましょう。抜髄後の経過は、患者さん一人ひとり異なります。