しゃくれ(下顎前突・反対咬合)を治すための治療には、いくつかの方法がありますが、それぞれに伴う痛みやダウンタイム(回復期間)は異なります。治療を検討する上で、これらを事前に理解しておくことは非常に重要です。まず、歯列矯正のみで治療する場合、矯正装置を装着した直後や、調整を行った後数日間は、歯が動くことによる痛みや違和感、締め付けられるような感覚が出ることが一般的です。痛みの感じ方には個人差がありますが、多くは数日から1週間程度で落ち着きます。食事の際に硬いものが食べにくくなったり、口内炎ができやすくなったりすることもあります。この場合のダウンタイムは、主にこれらの不快な症状が続く期間を指し、日常生活に大きな支障が出ることは少ないですが、慣れるまでは多少の我慢が必要です。次に、外科手術を伴う外科的矯正治療の場合、顎の骨を切る手術を行うため、術後の痛みや腫れは避けられません。手術は全身麻酔下で行われるため、手術中に痛みを感じることはありません。術後の痛みは、処方される鎮痛剤でコントロールしますが、数日から1週間程度は続くことが多いです。最も大きな腫れは、術後2〜3日をピークに、1〜2週間程度で徐々に引いていきますが、完全に腫れがなくなるまでには1ヶ月以上かかることもあります。また、口が開きにくくなったり、食事や会話がしづらくなったりする期間もあります。入院期間は通常1〜2週間程度で、退院後も自宅療養が必要となる場合があります。仕事や学校への復帰は、腫れや体力の回復具合によりますが、術後2週間から1ヶ月程度が目安となることが多いです。美容整形外科で行われるセットバック手術やオトガイ形成手術の場合も、外科的矯正治療と同様に、術後の痛みや腫れ、内出血などが生じます。ダウンタイムの期間も、手術の規模や個人の回復力によって異なりますが、大きな腫れが引くまでに1〜2週間、細かい腫れや違和感が完全に落ち着くまでには数ヶ月かかることもあります。これらの治療を受ける際には、担当医から痛みやダウンタイムについて十分な説明を受け、術後の生活や仕事のスケジュールなどを考慮して計画を立てることが大切です。