風邪やインフルエンザ、あるいはその他の感染症にかかってしまった後、体調が回復したら、使っていた歯ブラシを新しいものに交換することを強くおすすめします。一見、些細なことのように思えるかもしれませんが、これにはお口の健康、そして全身の健康を守る上で重要な理由があるのです。風邪やインフルエンザのウイルス、あるいは細菌感染症の原因となる細菌は、唾液や鼻水などを介して歯ブラシに付着します。歯ブラシは、毛が密集しており、使用後は湿った状態が続くため、これらの微生物にとって格好の繁殖場所となり得ます。病気が治癒した後も、これらのウイルスや細菌が歯ブラシの毛の間や根元に潜んでいる可能性があり、そのまま同じ歯ブラシを使い続けると、自分自身が再感染してしまうリスクがあるのです。特に、免疫力が低下している時や、体調が完全に回復しきっていない時は、普段なら問題にならないような少量のウイルスや細菌でも、再び症状を引き起こす可能性があります。「せっかく治ったのに、また同じような症状が…」といった事態を避けるためにも、病み上がりの歯ブラシ交換は有効な予防策と言えます。また、家族と同居している場合は、さらに注意が必要です。もし、感染症にかかった人が使っていた歯ブラシを、他の家族の歯ブラシと同じ場所に保管していたり、歯ブラシ同士が接触するような状況にあったりすると、ウイルスや細菌が他の家族の歯ブラシに移り、家庭内感染を広げてしまう可能性も否定できません。このようなリスクを減らすためにも、感染症にかかった人の歯ブラシは、治癒後に速やかに新しいものに交換し、他の家族の歯ブラシも清潔に保つように心がけることが大切です。歯ブラシの交換は、特別なことではなく、日常的な衛生管理の一環と捉えるべきです。コップを毎日洗うように、タオルを定期的に交換するように、歯ブラシもまた、清潔さを保つために定期的な交換が必要なアイテムなのです。病気の後はもちろんのこと、普段から1ヶ月程度を目安に交換し、毛先が開いたらすぐに新しいものに取り替える習慣をつけましょう。もし、歯ブラシの交換を忘れてしまいそうな場合は、カレンダーに印をつけたり、スマートフォンのリマインダー機能を活用したりするのも良い方法です。
風邪をひいたら歯ブラシ交換!その理由と重要性