私の顔の右側のエラに、鈍い痛みを感じるようになったのは、今から思えば二年ほど前のことでした。最初は、寝違えたか何かだろうと軽く考えていました。しかし、その痛みは消えることなく、むしろ日を追うごとに存在感を増していきました。特に、指でぐっと押した時の、奥に響くような痛みが不快で、気づくといつもその部分を触って確かめている自分がいました。食事をする時に顎が疲れる感じもあり、硬いものを食べるのが少し億劫になりました。何よりも辛かったのは、原因がわからないことへの漠然とした不安です。インターネットで「エラ 押すと痛い」と検索しては、様々な病気の可能性に一喜一憂する毎日。肩こりや頭痛もひどくなっていき、エラの痛みが全ての不調の根源のように思えてなりませんでした。いくつかの病院も訪ねました。整形外科では首の問題を、耳鼻咽喉科ではリンパの異常を疑われましたが、いずれも検査結果は「異常なし」。途方に暮れていた時、ふと歯科検診でその痛みのことを相談してみたのです。すると歯科医は私の口の中を診て、歯のすり減り具合を指摘し、「夜、歯ぎしりをしていませんか?」と尋ねました。自覚は全くありませんでしたが、その可能性は高いとのこと。原因は、長年の歯ぎしりと日中の食いしばりによる、咬筋の慢性的な疲労だったのです。その日から、私の治療が始まりました。夜間に装着するマウスピースを作ってもらい、歯科衛生士さんからは咬筋をほぐすマッサージの指導を受けました。最初は半信半疑でしたが、マウスピースを使い始めて一ヶ月ほど経った頃、朝起きた時の顎のだるさが明らかに軽減していることに気づきました。そして、意識してマッサージを続けるうちに、あれほど頑固だったエラの痛みも、少しずつ和らいでいったのです。今では、痛みを感じることはほとんどありません。この経験は、自分の体と向き合うこと、そして専門家の診断を仰ぐことの重要性を、私に痛感させてくれました。