デンタルフロスの重要性は理解していても、毎日の習慣にするのはなかなか難しい、と感じている方は少なくありません。三日坊主で終わってしまった、という声もよく耳にします。しかし、歯科医の立場から見れば、デンタルフロスは継続してこそ真価を発揮するオーラルケア用品です。では、どうすればデンタルフロスを無理なく、そして楽しく毎日続けることができるのでしょうか。歯科医が患者さんによくアドバイスする、習慣化のための秘訣をいくつかご紹介します。まず最も大切なのは、「完璧を目指さない」ことです。最初から全ての歯間を完璧に清掃しようと意気込むと、時間がかかりすぎたり、上手くできずに挫折感を感じてしまったりすることがあります。歯科医は、まずは1日に1回、例えば夜の歯磨きの後だけでも良いので、とにかく「フロスに触れる」習慣をつけることを推奨します。最初は前歯の数カ所だけでも構いません。慣れてきたら少しずつ範囲を広げていけば良いのです。完璧主義は長続きの敵と心得ましょう。次に、デンタルフロスを使うタイミングを生活のリズムに組み込むことです。例えば、「テレビを見ながら」「お風呂に入りながら」など、何か他の習慣とセットにすることで、忘れにくくなります。歯科医の中には、洗面所に限定せず、リビングなどリラックスできる場所にフロスを置いておくことを勧める人もいます。いつでも手に取れる環境を作ることで、フロスへのハードルを下げることができます。また、自分に合ったデンタルフロスを選ぶことも非常に重要です。使いにくいフロスや、使っていて痛みを感じるようなフロスでは、続けるのが苦痛になってしまいます。前述の通り、フロスには様々な種類がありますので、歯科医や歯科衛生士に相談しながら、自分にとって最も快適に使えるものを見つけましょう。新しいフロスを試すこと自体が、モチベーション維持に繋がることもあります。さらに、デンタルフロスを使った後の爽快感を意識することも有効です。フロスを通した後の歯間のスッキリ感や、翌朝の口の中のサッパリ感を一度味わうと、「やらないと気持ち悪い」と感じるようになり、自然と継続できるようになる方もいます。