笑った時に歯茎が目立つガミースマイル。その原因の一つとして非常に多く見られるのが、上唇の筋肉の過度な活動です。私たちの表情は、顔にある多くの筋肉の複雑な連携によって作られています。笑顔を作る際にも、口角を上げる筋肉や、上唇を上に引き上げる筋肉などが働きます。このうち、上唇を上方に引き上げる役割を持つ筋肉群、特に「上唇挙筋(じょうしんきょきん)」や「上唇鼻翼挙筋(じょうしんびよくきょきん)」と呼ばれる筋肉の力が強すぎると、笑った時に上唇が必要以上に持ち上がりすぎてしまうのです。その結果、本来であれば唇に隠れているはずの歯茎部分が大きく露出し、ガミースマイルと呼ばれる状態になります。この上唇の筋肉の過活動は、生まれ持った筋肉の強さや付き方が関係している場合が多いと考えられています。特別な原因があるわけではなく、体質的なものと捉えることができるでしょう。また、無意識のうちに特定の表情筋を使いすぎる癖がついていることも影響するかもしれません。例えば、人によっては、笑うときに鼻の横にシワを寄せるように上唇を強く引き上げる癖がある場合、それがガミースマイルを助長している可能性があります。このタイプガミースマイルは、骨格や歯並びに大きな問題がない場合でも起こり得ます。つまり、歯や顎の形は理想的であっても、唇の動きだけでガミースマイルに見えてしまうのです。このような上唇の筋肉の過活動が原因であるガミースマイルに対しては、ボツリヌストキシン注射(一般的にボトックス注射として知られています)が有効な治療法の一つとして挙げられます。この治療は、過剰に働く筋肉の動きを一時的に弱めることで、上唇の上がりすぎを抑え、歯茎の露出を軽減する効果が期待できます。メスを使わない比較的簡便な治療法であり、多くのクリニックで提供されています。ただし、効果は永続的ではないため、持続させるには定期的な施術が必要です。自分のガミースマイルが上唇の動きすぎによるものかどうかは、専門医の診断が必要です。