歯の神経を抜く治療(抜髄)は、できることなら避けたいものです。神経を失った歯は、もろくなったり変色したりするリスクがあり、何よりも自分の歯を健康な状態で長く保つことが理想です。では、歯の神経を抜く事態に至らないためには、どのような予防策を講じることができるのでしょうか。最も基本的かつ重要なのは、やはり虫歯の予防です。歯の神経を抜く最大の原因は、進行した虫歯による歯髄炎だからです。虫歯予防の基本は、毎日の丁寧な歯磨きです。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使い、歯と歯の間や歯周ポケットなど、歯ブラシだけでは届きにくい場所に潜むプラーク(細菌の塊)をしっかりと除去することが大切です。特に寝る前の歯磨きは、唾液の分泌が減る就寝中の細菌の増殖を抑えるために、時間をかけて丁寧に行いましょう。フッ素入りの歯磨き粉を使用することも、歯の再石灰化を促し、虫歯になりにくい歯質を作るのに効果的です。食生活の改善も、虫歯予防には欠かせません。甘いお菓子やジュースなどの糖分の摂取回数が多いと、お口の中が酸性になる時間が長くなり、歯が溶けやすくなります。だらだらと間食をする習慣は避け、食事や間食は時間を決めて摂るように心がけましょう。また、よく噛んで食べることで唾液の分泌を促すことも重要です。唾液には、お口の中の酸を中和したり、細菌の増殖を抑えたり、初期の虫歯を修復したりする自浄作用があります。食物繊維の多い野菜などを積極的に摂ることも、歯の表面の汚れを落とし、唾液の分泌を助ける効果が期待できます。そして、虫歯予防のもう一つの柱が、定期的な歯科検診です。自覚症状がなくても、歯科医院で定期的にチェックを受けることで、ごく初期の虫歯を発見し、簡単な治療で済ませることができます。初期の虫歯であれば、削らずにフッ素塗布や生活習慣の改善指導などで進行を抑えられる場合もあります。もし、冷たいものがしみたり、噛むと時々痛んだりといった初期のサインに気づいたら、放置せずに早めに歯科医院を受診することも非常に重要です。小さな虫歯のうちに治療すれば、神経を抜く事態を避けられる可能性が高まります。「まだ大丈夫だろう」「歯医者は怖いから行きたくない」と先延ばしにしていると、気づいた時には手遅れになっているかもしれません。
神経守るために!抜髄に至らない予防策とは