なかなか治らない、しつこい口唇炎。リップクリームを塗り、ワセリンで保護しても、一向に良くならない。そんな時、その原因は、あなたが毎日、何気なく使っている、意外なものに潜んでいるかもしれません。口唇炎の中でも、特定の物質に対するアレルギー反応によって引き起こされるものを、「接触口唇炎（せっしょくこうしんえん）」と呼びます。ここでは、その意外な原因物質のいくつかをご紹介します。まず、最も多くの人が疑うのが、「口紅やリップクリーム」などの化粧品です。口紅に含まれる、赤色〇号といった「色素（タール色素）」や、香りを付けるための「香料」、そして、製品の品質を保つための「保存料」などが、アレルゲン（アレルギーの原因物質）となることがあります。また、UVカット機能のあるリップクリームに含まれる「紫外線吸収剤」も、人によっては刺激となり得ます。今まで問題なく使えていた製品でも、体調の変化などによって、ある日突然、合わなくなることもあるのです。次に、意外な盲点となるのが、「歯磨き粉」です。歯磨き粉に含まれる、ミント系の「香味料（メントールなど）」や、泡立ちを良くするための「発泡剤（ラウリル硫酸ナトリウムなど）」が、唇に付着することで、アレルギー反応を引き起こすことがあります。歯磨きの後、口周りをしっかりと洗い流していないと、これらの成分が、唇に長時間留まることになり、リスクを高めます。また、「食べ物」も、重要な原因の一つです。マンゴーや、キウイ、パイナップルといった、特定の果物や野菜に含まれるタンパク質が、アレルゲンとなることがあります（口腔アレルギー症候群）。また、香辛料や、酸味の強い食べ物による、直接的な刺激も、口唇炎を悪化させます。さらに、金属アレルギーのある人が、「金属製の楽器（フルートやトランペットなど）」を演奏することや、歯科治療で使われた「金属の詰め物」が、間接的に影響しているケースもあります。もし、あなたの口唇炎が、なかなか治らないのであれば、一度、ご自身の身の回りにある、これらの「唇に触れるもの」を、リストアップしてみてください。そして、原因と思われるものを、一つずつ使用中止してみる「除去試験」を行うことで、意外な犯人が見つかるかもしれません。