フェイスラインが四角く見え、顔が大きく感じられる「エラ張り」。多くの人が美容上の悩みとして捉えているこの特徴は、実は「エラを押すと痛い」という症状と密接な関係にある場合があります。一般的にエラ張りは、下顎の骨(下顎角)が元々大きい、骨格的な要因によるものと考えられがちです。もちろん、そうしたケースもありますが、実は後天的な要因、すなわち物を噛むための筋肉である「咬筋」が過剰に発達し、盛り上がっていることが原因であるケースが非常に多いのです。この咬筋は、日常的な食事だけでなく、無意識に行っている歯ぎしりや食いしばりによって、常に鍛えられている状態にあります。特に、ストレスが多い環境や、何かに集中する癖がある人は、長時間にわたって強い力で歯を噛みしめ続ける傾向があります。これは、腕の筋肉を絶えずトレーニングしているのと同じことで、咬筋は次第に太く、硬く発達していきます。この発達した咬筋が、外見的にはエラの張りとして現れるのです。そして、過剰に発達し、常に緊張状態にある筋肉は、血行が悪化し、疲労物質が溜まりやすくなります。その結果、筋肉自体が凝り固まり、指で押すと痛みを感じるようになるのです。つまり、「エラが張っている」という見た目の悩みと、「エラが痛い」という身体的な悩みは、どちらも「咬筋の過緊張」という共通の根源から生じている可能性が高いと言えます。この視点に立つと、アプローチの方法も見えてきます。美容クリニックで行われるエラボトックス注射は、筋肉の働きを弱めることでエラの張りを解消しますが、これは同時に筋肉の緊張を和らげるため、痛みの改善にも繋がることがあります。逆に、歯科医院で食いしばり対策のマウスピースを作ったり、セルフマッサージで筋肉の凝りをほぐしたりすることは、痛みの軽減だけでなく、結果的にフェイスラインをすっきりとさせる効果も期待できるのです。
エラ張りの悩みと痛みの知られざる関係