毛先が多少開いていても、まだ使えるじゃないか、もったいない、と交換するのは、本当にボロボロになってからで十分だと思っていたのです。しかし、ある日、定期検診で訪れた歯科医院で、歯科衛生士さんから衝撃的な一言を告げられました。「〇〇さん、歯茎が少し炎症を起こしていますね。歯ブラシ、いつ交換されましたか?」その時、私はハッとしました。そういえば、今の歯ブラシを使い始めてから、もう3ヶ月近く経っているかもしれない…。歯科衛生士さんからは、毛先が開いた歯ブラシではプラークがきちんと落とせず、歯肉炎の原因になること、そして古い歯ブラシには細菌が繁殖しやすいことなどを丁寧に説明されました。その日から、私は歯ブラシの交換時期を意識するようになりました。まず、歯科衛生士さんのアドバイス通り、1ヶ月を目安に交換することを決め、カレンダーに印をつけるようにしました。そして何より、歯ブラシのヘッドを裏側から見て、毛先が少しでもはみ出していたら、期間に関わらず交換するように心がけました。新しい歯ブラシで磨き始めると、その違いは歴然でした。毛先にコシがあり、歯と歯の間や歯茎のキワにもしっかりと届いている感覚があります。以前の、毛先が開いた歯ブラシで磨いていた時のような、どこか頼りない、スッキリしない感じとは全く違いました。そして、次の定期検診では、歯科衛生士さんから「歯茎の状態、とても良くなりましたね!歯磨きも上手になりました」と褒められたのです。この経験を通じて、私は歯ブラシの交換がいかに大切かを痛感しました。古い歯ブラシを使い続けることは、まるで穴の空いたバケツで水を汲むようなもの。どんなに頑張っても、期待する効果は得られず、むしろ時間と労力の無駄遣いになってしまうのかもしれません。それどころか、お口の健康を損ねるリスクすら高めてしまうのです。歯ブラシ一本の値段は、数百円程度。その数百円を惜しんで交換を怠った結果、虫歯や歯周病の治療で何万円もかかってしまうとしたら、それこそ本当の「もったいない」ではないでしょうか。