長年お世話になってきた「かかりつけ歯医者」さん。何かあるといつも相談に乗ってくれ、家族ぐるみで診てもらっているような場合、いざ他の歯医者さんに変えようと思うと、大きな罪悪感や申し訳なさを感じてしまうのは、人として自然な感情かもしれません。まるで、恩師や親しい友人を裏切るかのような気持ちになることもあるでしょう。しかし、その罪悪感に縛られて、自分にとってより良い医療を受ける機会を逃してしまうのは本末転倒です。ここでは、その罪悪感とどう向き合えば良いのか、考えてみましょう。まず、理解しておきたいのは、患者さんには「医療を選択する権利」があるということです。これは、医師を選ぶ権利、治療法を選ぶ権利、そしてセカンドオピニオンを求める権利などを含みます。かかりつけの先生との良好な関係は素晴らしいものですが、それが患者さんの選択の自由を奪うものであってはなりません。歯科医療も日々進歩しており、新しい治療法や考え方が出てきています。また、患者さん自身のライフステージや価値観の変化によって、求める医療の形も変わってくることがあります。そのような時に、他の選択肢を検討することは、決して悪いことではないのです。罪悪感を感じる背景には、「先生に申し訳ない」「がっかりさせてしまうのではないか」といった、相手への配慮の気持ちがあるはずです。その気持ちは尊いものですが、一方で、歯科医師もプロフェッショナルです。患者さんが他の医師の意見を聞きたいと考えることや、他の医院に移ることは、医療の現場では決して珍しいことではありません。多くの歯科医師は、そのような患者さんの意思を尊重し、理解しようと努めてくれます。もちろん、中には感情的になる医師もいるかもしれませんが、それはその医師個人の問題であり、あなたが罪悪感を抱える必要はありません。罪悪感を和らげるための一つの方法は、自分自身の「なぜ歯医者を変えたいのか」という理由を明確にすることです。例えば、「〇〇という特定の治療について、もっと専門的な意見を聞きたい」「現在の治療法では改善が見られないので、他のアプローチを試したい」「ライフスタイルの変化で、通院が難しくなった」など、具体的な理由があれば、自分自身も納得しやすく、必要であれば相手にも伝えやすくなります。また、もし伝える場合は、これまでの感謝の気持ちを添えることが大切です。
「かかりつけ歯医者」を変える時の罪悪感と向き合う