コンポジットレジンは、虫歯治療で広く使われる白い詰め物で、多くの利点がありますが、永久的なものではなく、時間とともに劣化していく可能性があります。この劣化が、時に「コンポジットレジンは虫歯になりやすい」と言われる一因、つまり二次虫歯のリスクを高めることにつながります。では、コンポジットレジンはなぜ劣化するのでしょうか。いくつかの主な理由が考えられます。まず、「吸水性」です。コンポジットレジンはプラスチック系の材料であるため、唾液などの水分をわずかながら吸収する性質があります。長期間にわたって水分を吸収することで、レジン自体がわずかに膨張したり、物性が変化したりすることがあります。この変化が、歯とレジンの間の適合性を少しずつ損ない、微細な隙間を生じさせる原因となることがあります。次に、「摩耗」です。毎日の食事や歯ぎしり、食いしばりなどによって、コンポジットレジンは少しずつすり減っていきます。特に、噛み合わせの力が強くかかる部分や、歯ブラシで強く磨きすぎる習慣がある場合、摩耗の進行は早まる傾向があります。レジンが摩耗してすり減ると、歯との間に段差ができたり、表面が粗造になったりして、プラークが付着しやすくなり、二次虫歯のリスクを高めます。また、「着色・変色」も劣化の一形態と言えます。コーヒー、紅茶、ワイン、カレーなどの色の濃い飲食物や、喫煙によって、コンポジットレジンは徐々に着色したり変色したりすることがあります。これは審美的な問題だけでなく、レジンの表面性状の変化を示唆している場合もあり、プラークの付着しやすさにも影響を与える可能性があります。さらに、「重合収縮」の影響も無視できません。コンポジットレジンは、光を照射して硬化させる際に、わずかながら収縮する性質があります。この収縮が、歯とレジンの界面に応力を生じさせ、接着力を弱めたり、微細な隙間(マイクロリーケージ)を生じさせたりする原因となることがあります。これらの劣化要因は、時間の経過とともに複合的に作用し、コンポジットレジンの寿命に影響を与えます。定期的な歯科検診でレジンの状態をチェックしてもらい、必要であれば研磨や再治療を行うことが、二次虫歯を防ぐために重要です。